私たちが目指す「安全・安心・快適なモビリティ社会」の実現には、車載システムの進化が不可欠です。近年、自動運転や先進運転支援システム（ADAS）の開発が進み、クルマは単なる移動手段から「つながる知能端末」へと変貌を遂げています。しかし、従来のクラウド集中型システムでは、膨大なデータ通信や遅延、消費電力の増大といった課題が顕在化し、真のリアルタイム性や個別最適化には限界がありました。この課題を解決するために設立されたのが「エッジAIデジタルツインコンソーシアム」です。

　例えば、ある車両が前方で事故や渋滞を検知した場合、その情報をAIが即座に要約し、周囲の車両やインフラとリアルタイムで共有します。これにより、後続車は危険を事前に察知して安全運転ができるだけでなく、交通流全体の最適化や渋滞緩和にもつながります。

　CBEAM®の技術は、ADAS（Advanced Driver-Assistance Systems：先進運転支援システム）において極めて有効な技術となります。ADASの安全性・応答性を飛躍的に高めます。

　ドライバーは、CBEAM®による情報共有で危険を事前に察知し、前方の急な渋滞や事故情報を即座に他車へ共有します。万が一の際も、迅速な対応が可能です安心して運転できるように、主にセンサーを使って車両周辺の状況を把握し、ドライバーに警告を表示したり、ブレーキやステアリングを制御したりすることで事故防止や運転の負担軽減に貢献します。
　さらに、個人体験価値推定AIが一人ひとりの運転傾向や好みに合わせて、最適なサポートや情報提供を行い、快適なドライブを実現します。

　これらの技術は自動車だけでなく、シニアカーや配送ロボット、公共交通機関など多様なモビリティにも展開可能です。街全体がCBEAM®でつながることで、都市の安全性・効率性が飛躍的に向上し、誰もが安心して移動できる社会の実現に貢献します。

【CBEAM®の技術的特徴と活動】

　CBEAM®の技術的な特徴は、分散階層型データベース、階層化AI、無線通信、個人体験価値推定AI、そして柔軟なアーキテクチャ設計にあります。端末が収集した膨大な実データは、AIによって特徴抽出・メタデータ化され、必要最小限の情報のみが端末間で共有されます。これにより、通信コストや消費電力を大幅に削減しつつ、情報の鮮度と安全性を両立させています。このコア技術によって、車両やIoT端末同士がリアルタイムに情報を共有します。

　階層化AI部は「認知」「予測」「判断」「行動」4階層に分かれます。

　車両が収集した膨大なデータは、AIが特徴を抽出しメタデータ化し、必要な情報だけを端末間で効率的にやり取りし、低遅延・低消費電力を実現します。端末では新規データのうち、既存と比較し、必要な実データのみを保持端末から共有します。

　このコンソーシアムでは、このような機能アークテクチャでチップ開発を行いました。

　低遅延、画像30FPSに間に合う33mS以下の応答スピード性能のチップを開発した。

　この図はCBEAMの応用事例で、自動運転に必要な技術の「抜け」をカバーすることができる安全運転支援を示している。

　この図は、通信データ量のサイズに対する自動運転・安全運転支援用通信許容時間を示している

　コンソーシアムの活動は、技術調査・標準化・普及活動を柱とし、多様な企業や研究機関、自治体が連携して推進されています。標準化活動は国内外で進められており、国際競争力の強化や社会実装の加速にも大きく寄与しています。
　会員になることで、最先端技術へのアクセスや実証実験への参加、業界横断的なネットワーク拡大など多くのメリットを享受できます。
　活動内容は、エッジAIを活用したデジタルツイン構築の調査・協議（企画・運営委員会）、メタデータフォーマットや通信プロトコルの標準化（標準化準備WG）、社会実装・普及活動（普及WG）など多岐にわたり、学会や展示会での技術発表や他団体との連携も積極的に行っています。　

　会員資格は自動車メーカー、サービスプロバイダー、通信キャリア、半導体メーカー、大学・研究機関、自治体、個人研究者など幅広く、正会員や賛助会員など多様な参加形態が用意されています。会員になることで、最先端技術へのアクセスや標準化活動への参画、ネットワーク拡大など多くのベネフィットが得られ、社会実装を加速できます。

　CBEAMを活用したエッジAIデジタルツイン技術が、今後の自動運転や安全運転支援、スマートモビリティ社会の実現に直結するイノベーションであることを、ぜひご注目いただきたいと思います。
CBEAM®がもたらす感動的な体験。安全・安心・快適なモビリティ社会の実現へ、皆さまとともに歩み続けます。