クルマの未来をより安全に、より安心に、そして快適で愉快なものにしたい――そんな想いから私たちは「煌めくPoCプラットホーム」を自ら開発し、車載分野のプロトタイピングと実証実験に革新をもたらしました。

　従来の車載システム開発は、複雑な設計や多様な機器の接続、長い開発期間が大きな壁となり、新しいアイデアが現場で試される前に停滞してしまうことが珍しくありませんでした。特に大手企業では、斬新な発想や新規テーマがアイデア段階で止まり、プロトタイプや実証実験に至るまでに多くの時間とコストを要していました。

　産学連携や国内外のパートナーと共に、PoC（Proof of Concept：概念実証）を積み重ね、そこから得られた知見をMVP（Minimum Viable Product：最小実用製品）へと展開するプロセスを描きます。
　このような課題を打破するため、私たちは「まずは試す」「すぐに動かす」「現場で確かめる」というスピード感と柔軟性を重視し、現場から生まれたソリューションとして「煌めくPoCプラットホーム」を世に送り出しました。

多機能なPoCを短期開発するためのプラットフォームを準備

CANやUSB、WiFiなどの各種インターフェースに加えて、GPS、Gセンサーなどの機器を一体化しています。

　このプラットホームは、高性能な演算処理能力と豊富なインターフェースを備え、各種センサーやカメラ、通信モジュールなどをワンプラグで簡単に接続できます。
　このシステムはCANやUSB、WiFi、GPS、Gセンサなど多様なインタフェースや機能を一体化し、センサーやカメラ、通信モジュール、スマートフォンとの連携やサイバーセキュリティ対策も組み込むことで、現実的かつ拡張性の高いシステムを実現しています。 クラウド連携もスムーズに行えるため、車載システムに必要な多様な要素を一つの基盤でシームレスに扱うことが可能です。

　最大の特徴は、100点満点の完成品を目指すのではなく、まずは70点で“動くもの”を素早く作り、現場やユーザーのフィードバックをすぐに次の開発へ活かせる点にあります。従来は数ヶ月かかっていたプロトタイプ作りや実証実験も、「煌めくPoCプラットホーム」ならわずか数日から数週間で実現でき、失敗も早く経験できるため、開発サイクルが劇的に短縮されます。これにより、イノベーションのスピードが格段に向上し、車載開発の現場に新しい活力をもたらしています。

　最近注力しているプロジェクトを紹介します。これは米国SapientX社と共同開発したアバター型AIアシスタントです。
　アバター型AIアシスタントが、ドライバーや乗員の「したいこと」を自然に把握し、生成AIによるプロンプト・プロファイリングツールを活用して、個々に最適なサポートを実現します。

　このプラットホームの導入によって、例えばドライバーの安全を守るAIカメラや、乗員の安心を支える生体センサー、快適な室内環境を自動制御するスマートシステム、移動そのものを愉快にするエンターテインメント機能など、さまざまな新しい車載ソリューションを短期間でプロトタイプ化し、実車環境で実証実験することが可能になりました。
　安全面では、AIカメラや各種センサーを用いた衝突防止やドライバー見守り、異常検知などのシステムを迅速に検証できます。安心面では、生体センサーによる乗員状態のモニタリングや緊急時の自動通報機能などをスピーディーに実装可能です。　

　快適さに関しては、室内の温度や空調、照明などを自動制御するスマート環境システムの実験が行えます。また、愉快さの面では、車内エンターテインメントやコミュニケーション機能など、新しい体験価値の創出が短期間で試作・検証できます。
　AIによる感情推定にも挑戦しており、安心・安全な移動体験をサポートしています。
　さらに、品川区ものづくり支援を受けた60GHz帯レーダー生体センサーによる非接触バイタルセンシング技術は、ドライバーや乗員の体調や気持ちを非接触で見守ることができます。心拍間隔（RRI）や体調・感情の変化を走行中でも高精度にモニタリングし、ドライバ・乗員の体調や気持ちを非接触で見守ります。

　スマートフォン連携やセキュリティ対策も万全。多機能なPoCを短期開発するためのプラットフォームも準備しています。

　この図は、簡易サーバやスマートフォンとの連携すステムの概要を示しています。
。暗号化されたデータ処理と認証システムで、セキュリティ対策も開発しています。これら多機能なPoCを短期開発するためにもプラットフォーム化はとても強力な技術となります。

　煌めくPoCプラットホーム」は、用途や要件の変化にも柔軟に対応できる拡張性を持ち、現場での実証や改善が容易です。大手企業では難しかった即断即決の開発スタイルが実現し、競争力の強化にもつながっています。実際、こうした効率的なPoC環境の導入は、自動運転やコネクテッドカーサービスといった最先端領域でも注目されており、開発リスクを抑えつつイノベーションを加速させる基盤として高く評価されています。

　「私たちの「煌めくPoCプラットホーム」は、クルマの未来をより良くするための現場発のソリューションです。スピード感と柔軟性を武器に、まずは試し、すぐに動かし、現場で確かめる。この姿勢こそが、これからの車載開発に求められる真の価値だと考えています。クルマの安全・安心・快適・愉快を加速させる革新的なプラットホームとして、「煌めくPoCプラットホーム」は、未来のモビリティ社会を支えていきます。